【ゆっくり怪談朗読】音か声か【第3話】
【ゆっくり怪談朗読】音か声か【第3話】
もう15年以上前、大学生だった頃。
友達に肝試しに誘われ、
車で山の中にある林の近くに行きました。
夜10時か11時ごろだったと思います。
2人1組でため池の横を通り、
林まで行って帰ってくるだけの簡単なルール。
懐中電灯を持って、
ひとつ下の後輩と進んでいくと、
「○○さん(私)、なにか聞こえませんか?」
と後輩。
促されて耳をすますと、
池の方から何かが聞こえるのに私も気づきました。
まるで男性が低い声で呻いているような音。
蛙や鳥の鳴き声かな?とも思ったのですが、
こんな声で鳴く蛙や鳥はちょっと記憶にありません。
しかし聞こえてくる方向は真っ暗な池の方角、
そして、どうも私たちの膝より下の方から聞こえてきます。
もしこれが人間の声だとしたら、
その人物は夜10時に真っ暗な池の中で
肩まで浸かって顔だけを出して呻いていることになります。
私たち2人は懐中電灯で、
音の聞こえてくる方向を照らし、
一体何の音なのか確認しようとしましたが、
結局何も見えませんでした。
その後も、
そのまま肝試しを続けてましたが、
音はずっと同じ調子で聞こえ続けていました。
しかし、他の組のメンバーは
誰もそんな音は聞かなかったとのこと…。
いまだにあの音が何だったのか分かりません。
どうして私達だけに聞こえたのでしょうか…。