御恐のゆっくり怪談朗読

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【ゆっくり怪談朗読】モノオト【第36話】


【ゆっくり怪談朗読】モノオト【第36話】


30年以上前の話です。

その当時、私の寝ていた部屋は、
たびたび夜中に

ドスン!

と、物が落ちる音がしました。
翌朝、何が落ちたのだろう? と、
部屋を見回しても何も落ちた物はありません。

何回目かの物音のあと、
父親に
「夜中に何か落ちる音がして怖い。」
と言いましたが、
「寝ぼけてたんだろう、それかネズミだ。」
と、一笑に付されてしまいました。

私が必死に
「重い物が落ちた音でネズミなんかじゃないし、
寝ぼけてなんかいない!」
と訴えても、相手にしてもらえませんでした。

そんなある夜、ふと気配を感じて目を覚ますと、
枕元に人の気配が‥‥。

「寝てます!寝てます!起きてません!」
と、心の中で唱えながら
ギュッと目をつぶって、
その人が去るのをじっと待っていました。

すると、その人が私の頭を撫でてきたのです。

そのことで不思議と怖くなくなり、
いつの間にか眠ってしまっていました。

それ以来、
夜中に音がすることは無くなり、
ぐっすり眠れるようになりました。

きっと、あの頭を撫でてくれた人は、
小さい頃に亡くなった母親だと思うのです。

そして、物音の原因を
追い払ってくれたのだと信じています。