【ゆっくり怪談朗読】黄色いパーカー【第10話】
ある日、友人5人で集まって鍋をしようという事になり、
駅から1番近い友人Aの家に行く事になりました。
その友人Aの家は、
共同トイレに共同玄関というすごく古いアパートでした。
鍋パーティーも盛り上がり、楽しい一時を過ごしました。
そして、朝方4時頃にトイレに行くために、
一階へ下りていきました。
すると、共同玄関の扉が開いていました。
その玄関の外で黄色いパーカーを着た男が
辺りをキョロキョロしながらふらついていました。
どうしたのかなと
黄色いパーカーを着た男の様子をみていると
目が合ったんです。
その瞬間に、
『おはようございます!』
と、にこやかに大きな声で挨拶されました。
このアパートに住んでいる人かなと思い、
『あ、おはようございます』と挨拶を返したんです。
トイレを済ませて部屋に戻ると、
今度は友人Bがトイレに行き帰ってきました。
その友人Bが部屋に戻ってくると
『下で黄色いパーカーを着た奴と会ったんだけど、
ピョンピョン跳ねながら元気よく挨拶してきたんだよ。』
と言い、その友人Bもとりあえず挨拶を返したそうです。
それから数時間後、みんな眠りについた後、
友人Bが慌てて私を起こして
「テレビを見ろ」と言いました。
テレビでは、ちょうど朝のニュースが流れていました。
テレビには、友人Aのアパートのすぐ近くが映っていました。
そして、ニュースの内容は、
そのアパートの近所で起きた通り魔事件の報道でした。
犯人は、黄色いパーカーを着た男で、
次々と包丁で人を刺していったそうです。
警察の事情聴取によると、
犯人の黄色いパーカーの男は
『挨拶を返さなかったから、刺した。』
と供述したそうです。